マスタード

●英名:Mustard
●和名:からし(辛子、芥子)
●学名:Brassica alba Boiss シロガラシ
 Brassica nigra Koch クロガラシ
 Brassica juncea Cosson カラシナ
●科名:アブラナ科の一年生草本
●原産地:南ヨーロッパ・地中海沿岸(シロガラシ、クロガラシ)、中央アジア・中国(カラシナ)
●主産地:カナダ、中国、オランダ、デンマーク、ポーランド、イギリス、フランス、エチオピア、イタリア、ロシア、アメリカ、日本、インドなど

 原産は、南ヨーロッパや地中海沿岸、中央アジアなど、広範囲に渡っている。アブラナ科の一年草である。マスタードは、ペパーやレッドペパーと同様、辛味スパイスの代表格である。マスタードの歴史は古く、古代ローマ時代には既に利用されていた。
 スパイスとして利用するのは、マスタードの種子である。マスタードには多くの品種があるが、ブラックマスタードとホワイトマスタードに大別される。

マスタードの品種

 マスタードには多くの品種があるが、栽培品種としてはホワイトタイプとブラックタイプに大別される。
■ホワイトマスタード
 原産は、南ヨーロッパおよび地中海沿岸である。日本における洋がらし。ホワイト、イエローマスタードが得られる。
■ブラックマスタード
 南ヨーロッパおよび地中海沿岸を原産とするものと、中央アジアおよび中国を原産とするものの二種類ある。からし菜の種子である和がらしは、後者に属する。  ブラック、ブラウン、オリエンタルマスタードが得られる。

マスタードの香味

 マスタードは、種子の状態では芳香も辛味も感じられない。粉末にして温湯で練ることで、あの特有の香りとツーンと鼻にくる辛味を発する。これは、溶いて練ることによって酵素が働き、配糖体が加水分解され「からし油」に変化するため、香味が発現するのである。
 ホワイトマスタードとブラックマスタードでは、辛味成分が異なるため、香味にも違いがある。
■ホワイトマスタード…辛味成分は不揮発性であり、鼻にツーンとくるような辛味感はない。しかし、旨味はホワイトマスタードの方が強い。洋がらしはこちらのタイプである。
■ブラックマスタード…辛味成分は揮発性で、あの特有の刺激的な強い辛味を有する。和がらしはこちらのタイプとなる。

 ソーセージには粒の入った洋がらしが合うが、おでんにはやっぱり和がらしが合う。料理に見合った方を利用すると、美味しさ楽しさが増す。

マスタードの利用法

 マスタードは、世界中の様々な料理に使われている。
■マスタードは、種子や粉末の状態の場合はかなり保存がきくが、一度練ったものは、時間の経過とともに香味が損失する。
■マスタードは、水分を加えて5〜10分ほどおく必要がある。これは、辛味成分は加水分解によって生じるためで、水よりもぬるま湯で溶く方が酵素の活性がより活発になり、辛味が増す。使用前に再度強く練ると香味をさらに引き出せる。
■マスタードの乳化作用を利用し、ドレッシングやマヨネーズに加えるとよい。この場合は白がらしがよい。防腐効果も期待できる。
■練ったからしを長期間保存させるには、レモン汁や酢、ワインなどを加えるとよい。そうすることで、酵素活性が阻止できるのである。
■マスタードの香味は加熱すると弱くなる。そのため煮込み料理などには向ないが、肉にたっぷりとマスタードをつけたソテー料理などは、逆にその原理を利用し、加熱によってマスタードの辛味をやわらげ、その風味を楽しむのである。
■ヨーロッパでは、ブラックマスタードに食塩水、ビネガーなどを配合したものを「ドイツ風」、ホワイトマスタードを原料に配合したものを「イギリス風」として様々な料理に利用されている。
日本においても、オリエンタルタイプ(70〜90%)のものとホワイトマスタード(30〜10%)を配合し、ビネガーとスパイスを加えて調味した洋風の練りがらしをよく見かけるようになった。
■マスタードホウルは、そのままか、もしくは砕いてピクルス等の漬け物に用いる。

マスタードの薬効

 種子に含まれる不揮発油は、利尿、嘔吐、興奮などに利用されている。また、血液の循環をよくするため、外用薬(塗布薬・膏薬)として関節炎、リウマチなどにも利用されている。殺菌・除臭効果もある。

マスタードの栽培

■耐寒性があり、土壌への順応性もある。
■種子より栽培する。春に種子をまき、夏に収穫する。さやが完熟すると種子がはじけ、収穫が難しくなるため、さやが完熟する前に収穫する。収穫後は十分に乾燥させ、脱穀する。

マスタードとカレー料理

  マスタードは、香辛料として世界中で広く使われているが、カレー料理には辛みと刺激性の強いブラウンマスタードシード(種子)が多用されている。
 マスタードのピリッとした辛さと、鼻にツンとくる香りは、実に食欲をわかしてくれる。常にストックしておきたいスパイスの一つである。
 最近では、マスタードには発ガン物質を体外に排出させる作用や、解毒酵素を誘導・活性化させる作用が強力であることが認められた。かなりの“優れものスパイス”なのである。
 カレー料理には、マスタードを始め、いくつものスパイスが使われている。中には刺激的(辛い!)なものもあるが、実は身体にはとても嬉しい料理なのである。
 カレー料理について知れば知るほど、カレーを食べずにはいられなくなってしまう。“カレーの魔力”にはかなわないらしい。